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【ウェビナーまとめ記事】医療安全のためのノンテクニカルスキル -基本編-《Column vol.65》

【ウェビナーまとめ記事】医療安全のためのノンテクニカルスキル -基本編-《Column vol.65》

「医療現場で組織全体で意識を高められるような取り組みをしたい」「だけど、現在の組織の空気では意識や認識を揃えるのが難しい」と悩まれている方もいるのではないでしょうか。

今回は、ノンテクニカルスキル教育を通じて医療機関の問題解決と組織変革をサポートしているトップランナーである佐藤和弘氏によるウェビナー『医療安全のためのノンテクニカルスキル -基本編-』をわかりやすく解説させていただきます。

医療安全の質向上のためには組織改革が大切である

医療安全の質を高めるには、組織単位で空気を変えていくことが大切です。

なぜなら、個人で良質な知識を習得したとしても、組織の意識が低ければそれが浸透しないどころか「組織の雰囲気を壊すもの」としてはじかれてしまう可能性があるからです。

せっかく良いことをスキルとして身に着けても、それが現場で活かせないのはもったいのないことです。

この記事では、組織に変革を起こすためにできるノンテクニカルスキルについてのことや具体的な方法などを解説していきます。

テクニカルスキルとノンテクニカルスキルの関係性

医療現場では、テクニカルスキルとノンテクニカルスキルの2つのスキルが必要です。

テクニカルスキルとは、専門技術のことを指します。

具体的には次の2つです。

  • ・職種
  • ・分野

専門性の高い分野・職種で、その知識や技術を磨いていくとテクニカルスキルが上がるでしょう。

しかし、医療現場ではテクニカルスキルだけでは、組織を動かすことはできません。

そこで必要となってくるのがノンテクニカルスキルです。

ノンテクニカルスキルとは、非専門技術になります。

具体的には、次の4つにわかれます。

  • ・考える力
  • ・伝える力
  • ・決める力
  • ・動かす力

医療安全においてノンテクニカルスキルが必要な理由

医療安全のために、ノンテクニカルスキルが必要になる理由は、主に次のとおりです。

  • ・思い込みや認識違いを防ぐため
  • ・伝達ミスを予防するため
  • ・環境や状況の変化に対し対応できる力が必要になるため

医療現場では、思い込みや伝達ミス、環境の変化などが起こりがちです。

認識の相違によるヒューマンエラーを防ぎ、環境の変化に対応していくためにもノンテクニカルスキルを磨いていきたいところです。

テクニカルスキルを個々で高めることは確かに大切なことですが、多職種連携をしようとした場合は、ノンテクニカルスキルが重要になります。

ノンテクニカルスキルを土台とし、支えることでテクニカルスキルがより発揮しやすくなるでしょう。

2つの個別スキルと実践方法

ノンテクニカルスキルとテクニカルスキルを使って、医療現場の組織変革を起こしたり、多職種連携の質を高めていきたいところです。

ここからは、具体的な実践方法について解説していきます。

問題意識の捉え方

問題意識とは大きく2種類に分類することができます。

その2種類は以下のとおりです。

  • ・問題発見型
  • ・問題設定型

問題発見型とは、マイナス要素の問題を発見し、ピックアップして解決に向けていくことです。

例えば、これまでは問題なく過ごしてきたところに、ある時期から問題が発生したとします。

それをピックアップして、解決方法をみんなで考えていく形の問題解決方法になります。

一方で問題設定型は、プラス要素の課題を設定し、そのゴールを目指して進んでいくことを指します。

例えば、これまで問題なく過ごしてきたと感じていても、さらに現状より良い姿、または理想の姿に近づけるようにみんなで士気を高めていくイメージです。

組織で問題解決までの認識を揃えるために

組織で問題解決の認識を揃えるためには、共通言語が必要となります。

ここからは、認識を揃えるために大切な問題解決六大大陸や共通言語について解説していきます。

医療現場の問題解決の六大大陸

医療現場で、問題解決を考えるときは、次の6つがカギとなります。

【2W1H】

  • ・問題:What
  • ・原因: Why
  • ・対策: How

【ギャップ】

  • ・あるべき姿
  • ・現状
  • ・目的

1つの目的を達成しようとしても、現状とあるべき姿にギャップがある場合、それは問題意識につながります。

問題はなんらかの原因により作られますので、解決するためには対策が必要になるでしょう。

このループからなるのが、医療現場の問題解決六大大陸になります。

つまり、組織単位で医療現場の問題解決を目指したいときには、上記の6つの認識を揃えるということが大切だということです。

6つの認識にズレが生じると、議論をしても話がかみ合わないといったことが発生します。

言葉にこだわる

医療現場でものごとの認識を揃えるためには、ビッグワードを使わないということも大切です。

医療現場で指すビッグワードとは、あいまい・抽象的な言葉という意味になります。

具体的には、次の表のような言葉です。

注意度警報注意報1注意報2注意報3
種類形容詞・副詞動詞名詞代名詞
ワード大きい検討するQOLあの
多い頑張るADLあれ
早い対処する安全それ
かなり確認する安心これ
大変意識するニーズここ
もう少し注意する満足どれ
なるべく気をつける不穏どこ

上記の言葉は抽象度が高く、曖昧であるため注意しましょう。

共通言語をつくる

医療現場では、同じ読み方だけでなく同じ捉え方ができることを共通言語と言います。

医療現場内でのチームワークを円滑にするためには、組織内で共通言語をつくることが大切です。

例えば、目的や問題に対しての捉え方に対し、組織で認識が揃っていないと向かうゴールがバラバラになり、問題解決が難しくなります。

組織での問題解決を目指すなら、共通認識を揃えられるようにしていくことが大切です。

そのためには、全てに対し、できるだけ具体的な会話をしていくと効果的です。

難しければ、冒頭で「具体的に」を常につけて話すクセをまずつけていくのがおすすめ。

「具体的には…」と話し出しにつけてしまうと具体的に説明せざるを得なくなるため、抽象度の低い会話ができるようになります。

相手が映像レベルでイメージできるように、具体性をもって表現できることが重要となります。

まとめ

医療現場で、何かを達成しようとするときには必ず組織改革が必要になります。
そのためには、問題や目的への共通認識を高めていくことが重要です。

記事を参考に、ぜひ現場で共通言語をつくって、組織改革を実践してみてください。

また、医療安全のためのノンテクニカルスキルについてのウェビナーは、実践編もあります。
気になる方は、今回の基本編と合わせてぜひチェックしてみてください。

今回のウェビナーついて、もっと詳しく知りたい方はぜひアーカイブ動画をご覧ください。

この記事を監修しました

中村 亜美

中村 亜美 / 介護福祉士・フリーライター

専門学校の卒業と同時に介護福祉士を取得し、そこから計12年程、特別養護老人ホームで介護スタッフとして勤務。現在は、フリーライターとして、在宅介護者や介護スタッフ、事業者向けのコラムなどを執筆している。(株)Magic Shieldsのコラムでは、介護施設内の課題解決などに着目し、経験を踏まえながらわかりやすい記事の作成を目指している。

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