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《Column vol.08》介護現場で見守り不足になる原因は?事業者の悩み解消法を紹介

《Column vol.08》介護現場で見守り不足になる原因は?事業者の悩み解消法を紹介

利用者・ご家族の認識と介護スタッフが置かれている現実にギャップを感じることはないでしょうか?「見守り不足」による不十分な介護ケアは、利用者やご家族の信頼を失いかねないものですが、一方でそれを簡単に解消できない厳しい現実も存在します。

利用者・ご家族から信頼を得るためにも、見守り不足により生じるリスクは回避していきたいところです。そこで、この記事では、介護現場で起こるスタッフと利用者・ご家族とのギャップとその解消法について紹介していきます。見守り不足の原因や対策についても解説していきますので、ぜひご覧ください。

介護現場で起こる利用者・ご家族とスタッフとの認識のギャップ

介護現場では、利用者・ご家族とスタッフとの間に気持ちのギャップが生まれてしまうことがあります。筆者が介護施設で働いていたときにも、認識のギャップによるトラブルは度々起きていました。

例えば、ご家族や利用者から「(利用者本人が)淋しがり屋であるから、呼ぶたびに対応してあげてほしい」と言われたことがあります。

淋しい気持ちに寄り添いたいと思い、スタッフは、その利用者からコールが鳴るたびに訪室しますが、慣れるとそれが20分~30分ごととなってしまい、さらには「ゆっくり話を聞いてほしい」と引き止められてしまうことがありました。

そうすると、他の利用者への対応ができなくなってしまうため、次第に利用者の話を切り上げ、フロアに戻ろうとすることが増えました。

利用者さまへの話をゆっくりと聞けなくなり、ついにはご本人やご家族から「しっかりとケアや対応をしてくれない」と言われるようになってしまったのです。

スタッフ側からすると、特定の利用者ばかりの部屋に訪室したり、話を聞いていたりすると、他の利用者に対する見守り不足にもなりかねないため、希望に添えない現実があります。

利用者・ご家族にも少し理解してほしいのが正直なところですが、理解されないと、利用者・ご家族とスタッフの間にこのような認識のギャップによる気持ちのすれ違いが生まれてしまうことがあるのです。

このように、利用者・ご家族の希望がスタッフの置かれている状況とマッチしていないと、ギャップによるトラブルは起こってしまうものだと思います。

また、事例のようなケースで見守り不足になってしまい起こってしまうリスクも懸念したいところです。そこで、次の章では見守り不足によるリスクについて解説していきます。

介護現場で見守り不足により起こること

介護現場で見守り不足になると、さまざまなリスクが生じます。見守り不足によるリスクを避けるための方法を考える前に、まずは「どのようなことが起こるのか」を把握しておきたいところです。 そこで、ここからは見守り不足により起こる3つのことを解説していきます。

転倒・事故に繋がる

まず、見守り不足による介護現場のリスクで挙がるのは、利用者の転倒事故です。見守りが十分にできないことによる転倒事故は、一番避けたいところですが、簡単に問題が解決しない現実もあります。

特に転倒リスクの高い利用者に対しては、しっかりと見守り体制を整えておきたいところですが、体制を整えることができず、見守りが不十分になると利用者の行動が把握できなかったことによる転倒事故に繋がってしまいます。

利用者の行動が把握できなくなる

見守り不足で利用者の日常の行動がしっかり把握できないと、そこから得られる情報が少なくなってしまいます。転倒事故防止やメンタルケアなど、利用者のケアの方針を決める際に、「利用者がどのように日常生活を過ごしているか」の情報が必須となります。

見守りができていないということは、利用者の行動もしっかりと把握できていないということです。ケア記録などから得られる利用者の行動情報から分析しながら、ケア方針を決めていきたいところですが、その情報が不十分となると適切なケアが実現できなくなってしまいます。

利用者・ご家族からの信頼を失う

見守り不足による転倒事故、ケアの質低下が続いてしまうと当然、信頼を失ってしまうでしょう。一度信頼を失ってしまうと、取り戻すのは大変です。

時間がかかるか、最悪修復不可能になってしまうかもしれません。見守り不足が原因で利用者・ご家族から信頼を失うことだけは、避けたいところです。

介護現場で見守り不足になる原因

見守り不足で生じるリスクを避けたいと思っている事業者は多いでしょう。しかし、現実的に解決が難しいのは、その原因が一つではなく複数ある場合が多いからです。

見守り不足になってしまう原因とは具体的にどのようなものでしょうか?ここからは、介護現場で見守り不足になってしまう原因4つを解説していきます。

人手が足りない

そもそもスタッフ数が足りていないということが原因で見守り不足になっている可能性も。必要な人員配置基準の規定は満たせていても、実際の介護ケアに必要なスタッフ数が足りていないと、見守りをするための十分な時間を取れません。

見守り不足で事故や転倒に繋がってしまうどころか、多忙な毎日に耐え切れずスタッフが次々に辞めてしまうといった悪循環に陥ってしまう可能性もあります。

人手不足は、介護業界全体の慢性的な課題の一つです。人手が足りないことで十分な介護ケアが行き届かないのも辛い現実なのです。

シフトがうまく作れていない

スタッフ数が足りていても、見守り不足になってしまう場合は、シフトづくりがうまくできていないのかもしれません。

例えば、転倒リスクの高い利用者が行動活発になる時間帯が夕方であったとします。その場合、日中いくらスタッフが多くても、夕方にスタッフ数が足りないと見守りしきれず転倒事故を招いてしまう可能性もあります。

このように時間帯によって、必要なスタッフ数が配置できないと、いくらスタッフ数が足りていたとしても、結果的に見守りできなくなってしまいます。施設や事業所のニーズに合った人員配置ができているシフトづくりが大切です。

利用者・ご家族の意向と現実にギャップがある

介護ケアをする上では、利用者やご家族の希望にできるだけ寄り添いたいと思うものです。しかし、それが過度であったり、特定の利用者だけを優遇する形になってしまったりすれば、他の利用者・ご家族不平等感を与えてしまうだけでなく、他の業務が進まなくなったり、他の利用者に対しての見守り不足に繋がったりしてしまいます。

利用者・ご家族からの要求が過度になる場合には、スタッフが置かれている現状を理解していない可能性もあります。あまりにも過度な要求をされた場合には、できない理由を丁寧に説明し断る必要もあるでしょう。

環境が整っていない

死角が多いフロアであれば、いくらスタッフ数に余裕があっても、見守りが行き届かないことがあります。また、フロア内に利用者が転びそうな物が多い場合は、見守りをしていたとしても、事故に繋がってしまうことがあるでしょう。

このように利用者が生活する環境が整っていないことで、結果転倒などに繋がってしまう事例は多いです。見守り不足を見直す上で、実は生活環境整備も重要なポイントなのです。

介護現場で見守り不足によるリスクを軽減させる方法

介護現場の見守りに関する問題の解決は難しいかもしれません。しかし、工夫次第では、信頼を失ったり、転倒事故を防いだりと見守り不足によるリスクを回避できる可能性もあります。

そこで、ここからは、介護現場で見守り不足によるリスクを軽減させる方法を解説していきます。

スタッフを定着させる・人員配置を見直す

見守りができていない理由を見直し、スタッフ数が足りないと思ったらまずは定着率を上げる方法を考えていきましょう。

待遇などを見直し、スタッフが長く勤められるような環境を整えていくことが大切です。退職者が多い場合には、まず「なぜ退職してしまうのか」の根本的理由を分析する必要があります。そして、その原因に沿った解決策を考え、スタッフが定着しやすい環境をつくっていきましょう。

例えば、人間関係トラブルでの退職が多い場合には、上司が定期的に相談に乗る時間を作るなどです。スタッフが働きやすい環境を整え、サポートしていきましょう。

また、スタッフの人員配置を見直すことも大切です。見守り不足が疑われる場合には、人員配置は適切であったかを見直し、余裕のあるシフトをつくっていくと良いでしょう。

優先順位を意識した介護ケアを指導する

スタッフ数や人員配置が適切であったとしても見守り不足が起こってしまうことがあります。スタッフに観察力がないといくら人手が足りていても、利用者の行動を予測できず転倒事故に繋がってしまいます。

介護現場においては、スタッフに優先順位を意識した動きをしてもらうことが大切です。「今、なにを優先すべきか」を意識した介護ケアが行えるように研修や勉強会などを積極的に取り入れていくと良いでしょう。

生活環境を整える

見守り不足が疑われる場合、スタッフ数の確保を考えたいものですが、難しいことが多いでしょう。介護業界全体、人手不足は慢性的な課題であるからです。

その場合には、スタッフの教育を進めるのはもちろんですが、生活環境も整えていきたいところです。例えば、安全性の高い床やマットに変えるのも一つです。今ある生活環境が適切であるかを見直し、課題があればそれに合ったものに変えていきましょう。

見守り不足によるリスクを避け、利用者・ご家族からの信頼に繋げよう!


見守り不足そのものを解消するのは、簡単ではありません。しかし、介護現場の環境を整えていくことで、見守り不足によるリスク回避ができる可能性があります。

特に転倒事故を防ぎたい場合には、マットや床など、利用者の生活環境の見直しを行っていくのが良いでしょう。転倒予防を考えるなら、おすすめは「ころやわ」です。

ころやわは、歩行時に硬く、転倒時には凹んで衝撃を吸収する床・マットです。設置により、利用者が安定した状態で歩行できるため、スタッフ数が足りず見守りが行き届かない状況でも安心です。

「見守り不足で悩んでいてもスタッフ確保が難しい」「スタッフは確保できていても、利用者の生活環境を見直し転倒を防ぎたい」という方は、ぜひ、ころやわの購入を検討してみてください。

さまざまな角度から、対策し、利用者の安全やご家族からの信頼に繋げていきましょう。

この記事を監修しました

中村 亜美

中村 亜美 / 介護福祉士・フリーライター

専門学校の卒業と同時に介護福祉士を取得し、そこから計12年程、特別養護老人ホームで介護スタッフとして勤務。現在は、フリーライターとして、在宅介護者や介護スタッフ、事業者向けのコラムなどを執筆している。(株)Magic Shieldsのコラムでは、介護施設内の課題解決などに着目し、経験を踏まえながらわかりやすい記事の作成を目指している。

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