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《Column vol.15》【事例あり】車椅子から転落する原因は?防ぐためのポイント解説!

《Column vol.15》【事例あり】車椅子から転落する原因は?防ぐためのポイント解説!

車椅子からの転落は、最悪、命に関わる事故に繋がるリスクの高いものです。

転落事故を防ぐことが高齢者の健康・生活を守るために大切なことであるといえます。

そこで、この記事では、筆者の経験を交えた車椅子から転落してしまうよくある事例から、転落の原因やそれを防ぐポイントなどを解説していきます。

転落事故が続き、対策方法に悩む方は、特に参考にしてみてください。

車椅子から転落してしまうよくある事例

車椅子から転落してしまうのは、一体どういった状況が多いのでしょうか。

ここからは、筆者の介護施設での経験も踏まえながら、車椅子から転落してしまうよくある事例を解説していきます。

事例1:ずり落ちによる転落

車椅子から身体全体がずり落ち、足から転落してしまうということがあります。

筆者が介護施設に勤務していたときも、同様の事例が過去にありました。

車椅子に長時間座っていた際に、姿勢が崩れ始めていたことにスタッフが気づかず、そのまま足からずり落ち転落してしまったのです。

少しでも、姿勢が崩れていると思ったら注意が必要です。

高齢者の中には、身体の状態により、ご自身で姿勢を直せない方もいます。

そのような方が姿勢を崩したまま、長時間1人になることがあると転落の危険が高まります。

事例2:円背な体勢により、前から転落

高齢者の中には、腰が曲がってしまい常に円背な姿勢になってしまう方もいます。

そういった方が車椅子に乗って自走した場合、前かがみの状態で移動するため、バランスを崩し転落してしまうケースも。

筆者も介護施設で、円背の方が車椅子に乗った状態で前にあった物を取ろうとした拍子に転落してしまったという事例がありました。

このように、ご本人の身体の状態により、転落に繋がってしまうという事例もあります。

事例3:アームレストのかけ忘れで転落

車椅子によっては、アームレストが動くタイプのものがあります。

アームレストが動くことにより、より安全に移乗・移動介助ができるようになるため便利ですが、使い方を一歩間違えると危険も伴います。

例えば、意外と多いのが上げ下げできるタイプのアームレストのかけ忘れです。

上げ下げできるタイプのアームレストは、移乗介助後、「カチッ」と音がなるまでしっかりと上げないとロックがかかりません。

アームレストをしっかりとかけていたつもりでも、ロックがかかっていない状態では、高齢者が体重をかけたとき、アームレストが下がってしまいます。

その結果、下がったアームレストから転落してしまう可能性があります。

この事例はあまり多くはありませんが、過去に一度だけ、アームレストのかけ忘れで高齢者が車椅子から転落したという事故が起こりました。

アームレストのかけ忘れは、明らかなスタッフの不注意になるので特に注意が必要です。

車椅子から転落してしまう原因

車椅子から転落してしまう原因とは、一体どのようなものがあるのでしょうか?

ここからは車椅子から転落してしまう原因3つを解説していきます。

車椅子が合っていない

高齢者の身体の状態に合っていない車椅子を使用していると、転落してしまうリスクが高くなります。

例えば、身体が拘縮していてリクライニングのほうが適切であるにも関わらず、無理矢理車椅子に座っているようなケースです。

また、体格に合っていない場合も危険です。

転落が続く場合は、高齢者に合った車椅子であるかを今一度確認しましょう。

長時間同じ姿勢でいるから

身体の状態や疾患が関係し、ご自身で姿勢を直せない方もいます。

そういった場合、長時間同じ姿勢でいると、徐々に崩れ、転落に繋がることもあります。

また、長時間同じ姿勢でいることで、一定の部分に負担がかかるため、転倒のリスクだけでなく褥瘡に繋がってしまう可能性も。

ご自身で姿勢が直せないような高齢者が車椅子に座っているときには、定期的に姿勢を直す介助を行うことが必要です。

本人の身体の状態によるもの

ご本人の身体の状態が原因で、転落を引き起こしてしまうケースもあります。

身体が円背になっていたり、麻痺があったりして上手く座位を保てない場合です。

そういった方が、バランスを崩し転倒してしまうケースも。

ご本人の身体の状態でバランスが保ちにくい場合には、特に注意が必要です。

車椅子からの転落を防ぐためのポイント

車椅子からの転落事故が発生すると、骨折や最悪、命に関わる状況を引き起こしてしまうリスクがあります。

そうならないためにも、車椅子からの転落は避けていきたいところです。

ここからは、車椅子からの転落を防ぐためのポイント3つを解説していきます。

ご本人に合った車椅子を選ぶ

転落が続く場合、ご本人に車椅子が合っていない可能性があります。

介護スタッフだけで車椅子がご本人に合っているか判断しづらい場合には、機能訓練指導員に相談してみるのも良いでしょう。

ご自宅で過ごされている高齢者の場合は、福祉用具専門相談員やケアマネに相談してみましょう。

正しい姿勢で座位が保てるように調整する

ご自身で姿勢が直せない方の場合、定期的に介護スタッフが姿勢を直す介助を行う必要があります。

正しい姿勢で座位が保てない方に関しては、車椅子に座っている間はできるだけ一人の空間で過ごしてもらうのを避け、姿勢が崩れたらすぐにスタッフが直せる環境にしておくことが大切です。

姿勢が保ちづらい場合には、クッションなどを使用するのも良いかもしれません。

見守りを怠らない

車椅子からの転落リスクがある方は、特に見守りが大切です。

ずっと傍にいることができなくても、危険がないかを常に確認するようにしましょう。

すぐに対応できる距離にいれば、転落しそうなときに駆けつけ、大事に至らずに済む可能性もあります。

人手不足で見守りが難しい場合には、上司に相談し、シフトづくりを見直す必要があるでしょう。

車椅子に座る時間を決める

車椅子は本来、椅子としてずっと座っているためのものではありません。

移動手段として使用するものであり、ずっと座るために作られたものではないため、長時間座ると疲れてしまいます。

車椅子に座りっぱなしにならないよう、椅子やベッドなどに定期的に移動するようにしましょう。

自走をされる方で、ご本人の希望によりずっと車椅子に座っている場合には、ご飯の際に椅子に変えてもらうなど臨機応変に対応していくと良いと思います。

高齢者の車椅子からの転落を防ぐための対策をしていこう!

高齢者の車椅子からの転落の原因や防ぐポイントを解説してきました。

筆者が介護施設で働いていた頃、車椅子の転落事故から、骨折に繋がってしまった事例もありました。

車椅子からの転落は、一歩間違えれば命に関わる怖い事故です。

転落を防ぎ高齢者の命や生活を守るために、できる対策を考え、実践していきましょう!

この記事を監修しました

中村 亜美

中村 亜美 / 介護福祉士・フリーライター

専門学校の卒業と同時に介護福祉士を取得し、そこから計12年程、特別養護老人ホームで介護スタッフとして勤務。現在は、フリーライターとして、在宅介護者や介護スタッフ、事業者向けのコラムなどを執筆している。(株)Magic Shieldsのコラムでは、介護施設内の課題解決などに着目し、経験を踏まえながらわかりやすい記事の作成を目指している。

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