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介護サービスを提供する老人ホームとしてよく知られている「特別養護老人ホーム」ですが、その中身や他の施設との違いがわからないという方もいるのではないでしょうか。
家族での介護負担が大きくなり、施設入居を検討する際に、ケアマネージャーから特別養護老人ホームへの入所を提案をされるかもしれません。
入所を決める前に、施設選びの目安になるような、特別養護老人ホームの特徴や選び方を把握しておきたいところです。
そこで、この記事では特別養護老人ホームの特徴や種類、契約の流れや注意点、費用相場や選ぶポイントなどを元特養スタッフの筆者の視点も交えて解説していきます。
特別養護老人ホームの特徴や契約の流れは?

特別養護老人ホームとは、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。
ここからは、特別養護老人ホームの特徴と簡単な契約の流れについて解説していきます。
特別養護老人ホームとは
特別養護老人ホームは主に社会福祉法人が国から出る補助金で運営している公的施設のことです。
補助金で運営していることもあり、比較的低価格で利用できるのが大きな特徴です。
常時介護を必要とする方を対象とした施設であり、24時間介護サービスを受けることができます。
一般的に知られる広域型特別養護老人ホームや地域密着型(サテライト型)特別養護老人ホームは、原則、要介護度3~5の方が入所対象となっています。
高齢者向けの入所施設の中でも、比較的低価格で利用できることから人気が集中し、入所待ちになっている施設が多いのが現状です。
入りたいからといってすぐに入れるとは限らないため、入所するための事前準備が大切になってきます。
また、特別養護老人ホームの入所を早めたいときは、気に入った施設のデイサービスやショートステイを利用しておくのも一つの手となります。
入所可否は他の高齢者と比較した優先順位度で決まりますが、同施設のデイサービスやショートステイを利用していた場合、優先順位度が高くなるケースも。
ただし、施設によって方針は違うため一概には言えませんので、早めの施設入所を考えたい場合にはケアマネージャーに相談してみると良いでしょう。
契約の簡単な流れ
ここからは、特別養護老人ホームの中でもっとも数の多い、広域型特別養護老人ホームの契約の流れを紹介していきます。
【広域型特別養護老人ホームの契約までの流れ】
- 要介護認定の申請
- 認定調査の実施
- 要介護度決定
- ケアマネージャーから介護サービスの提案
- 気に入った特別養護老人ホームがあれば申込書を提出
- 入所のための審査
- 優先順位度通知を受ける
- 入所前の面談
- 入所可否決定
- 本契約
特別養護老人ホームは、介護度認定で要介護度3~5と認定を受けた方が入所の対象となります。
入所は申込書を提出してから、審査を受け、のちに入所の可否が決定します。
また、入所待ちの他高齢者が複数いる場合は、優先順位度が高いほど入所できる可能性が上がります。
入居前に必要になる可能性のある準備物は以下の通りです。
- 入所申込書
- 健康診断書
- 介護認定調査票のコピー
- 印鑑証明
- 連帯保証人・身元引受人が記載する書類
- 戸籍謄本
- 住民票
必要な書類は、すぐに提出できるようにどこかに一式用意しておくようにしましょう。
契約の際の注意点
契約の際に注意するべきポイントは、必要書類等の用意です。
必要な書類に不備があると、スムーズに契約が進まなくなってしまう可能性があります。
契約の前に健康診断書などが必要になりますので、各地域の条例や施設ごとのルールに従って必要項目を埋めていくようにしましょう。
また、施設によっては面会や持ち物などのルールが厳しい場合もあります。
入所後に「こんなはずではなかった」とならないように、持ち物や面会時のルールなどは細かく確認しておくことが大切です。
特別養護老人ホームの種類やそれぞれの特徴は?

ホームには下記3つの種類があります。
- 広域型特別養護老人ホーム
- 地域密着型特別養護老人ホーム
- 地域サポート型特別養護老人ホーム
ここからは、特別養護老人ホームの3つの種類について詳しく解説していきます。
広域型特別養護老人ホームの特徴
広域型特別養護老人ホームは入居できる定員が30名以上の施設で、介護全般のサービスを受けることができます。
特別養護老人ホームの中で一番多いのが、こちらの「広域型」です。
どこの地域に住んでいても申込ができ、低価格であるため、人気が高く入居待ちになることも多いのが特徴です。
また、広域型特別養護老人ホームには従来型とユニット型、両方を合わせた混合型があります。
ユニット型は定員10名以下のご利用者様がワンユニットで生活するスタイルとなっており、少人数で手厚い介護サービスが受けられる点が人気です。ただし、従来型よりも少し値段が高くなりがちなのがデメリットでしょう。
一方で従来型は昔からの特別養護老人ホームのスタイルで、ワンフロアに約10〜25名くらいで生活します。
部屋タイプは多床室と個室の2種類があり、多床室であれば1つの部屋に4名以下で生活するスタイルとなっています。
地域密着型(サテライト型)特別養護老人ホームの特徴
地域密着型(サテライト型)特別養護老人ホームも介護全般のサービスが受けられる施設ですが、広域型特別養護老人ホームとの大きな違いはその入所定員数です。
広域型特別養護老人ホームが定員30名以上であるのに対し、地域密着型特別養護老人ホームは定員数を29名までとして運営しています。
よく知られる広域型特別養護老人ホームの従来型特養と比較すると、小規模で家庭的な雰囲気なのが特徴です。
また、地域密着型特別養護老人ホームは、高齢者が慣れた地域で住み続けることができることを目的として設置されており、市町村が主体となってサービス提供をしています。
地域サポート型特別養護老人ホームの特徴
地域サポート型特別養護老人ホームは、簡単に言うと高齢者のための在宅支援のサービスとなります。
対象地域に暮らす高齢者ができる限り長く在宅で自立した生活を送ることができるように設置されました。
生活援助員を配置し、24時間・年中無休で見守り・援助等のサービスを受けることができます。
広域型特別養護老人ホームや地域密着型(サテライト型)特別養護老人ホームの費用相場は?

特別養護老人ホームは、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅のように入居一時金はかかりません。
月額費用の内訳は下記の通りです。
- 居住費
- 食費
- 施設サービス費
- 日常生活費
特別養護老人ホームには、居住費や食費が安くなる「特定入居者介護サービス費」という仕組みがあります。
また、特別養護老人ホームは、介護保険で利用できるサービスですので、月額費用は自己負担額がどれくらいかによって変動します。
収入や介護度により変動する他、部屋タイプによって居住費も変わります。
広域型特別養護老人ホームや地域密着型(サテライト型)特別養護老人ホームを利用する際の自己負担額は8〜20万円程度が相場と言われています。
特別養護老人ホームを選ぶポイント5つ!

特別養護老人ホームは、対象となる入所者の条件や運営ルール等がある程度決まっているため、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に比べ、施設ごとの違いがわかりにくいかもしれません。
しかし、施設によって雰囲気やルール等は異なるため、特別養護老人ホームであってもしっかりと高齢者に合った施設を選ぶことが大切です。
ここからは特別養護老人ホームを選ぶポイント5つを元特養スタッフの視点から解説していきます。
清潔感があるか
特別養護老人ホームの入所に迷った時に確認したいのが施設内の清潔感です。
その施設の介護サービスが丁寧であるかどうかは、入所してみないとわかりませんが、清潔感は数分見学しただけである程度チェックすることができます。
清掃が行き届いていたり、物が整頓されていたりする施設は、ご利用者様への対応も丁寧であることが多いです。
逆に廊下や居室が汚れていたり、物が置きっぱなしになっていたりする場合には、人手不足により介護サービスも丁寧でない可能性があります。
見学の際には、施設内を見渡し、清潔に保たれているかを確認しましょう。
スタッフは明るく丁寧な態度であったか
スタッフの質は、その施設の介護ケアの質に直結します。
見学に行った際には、スタッフの様子もしっかりと観察するようにしましょう。
特に、イライラしていたり、ご利用者様に酷い態度で接していたりするスタッフはいないかもチェックすると良いかもしれません。
見学の際には「施設利用を検討しているお客様」として迎えられるので、普段の様子はわからないかもしれませんが、挨拶等を確認しておくとある程度スタッフの質がわかるでしょう。
安心して大切な家族を任せることができるスタッフが揃っているかしっかり確認しておきましょう。
設備は整っているか
特別養護老人ホームに入所されるということは、要介護度3〜5で比較的重度であることが多いと思います。
特に施設に入所したあとの、転倒事故やトラブルなどは避けたいところです。
しかし、特別養護老人ホームも人手不足が現状で、転倒事故やトラブルは必ずしも避けられるわけではありません。
そこで、チェックしておきたいところが「設備内容」です。
最近では、転倒事故を防ぐための見守り機器や介護用ロボット、転倒防止床マットなどさまざまな商品を施設内に導入する傾向にあります。
施設内の設備が整っていることで事故やトラブルを防げる可能性があるからです。
安心して家族を預けられる施設であるかどうかを確認したい場合は、設備面もぜひチェックしてみてください。
ユニットか従来型か
特に広域型特別養護老人ホームへの入所する場合、ユニット型か従来型かで雰囲気や費用負担が違ってきます。
ユニット型のメリットは少人数制で家庭的な雰囲気の中、介護サービスを受けることができる点ですが、デメリットは閉鎖的になってしまうため、スタッフや他ご利用者様との相性が合わない場合は、ご本人が辛い思いをしてしまうというところです。
一方で従来型のメリットはユニット型に比べ閉鎖的な部分がなく、合わない他のご利用者様がいたとしても普段過ごす位置を遠ざけるなどの工夫をすることができます。
また、費用負担もユニット型より少ない傾向があるのもメリットです。
しかし、大勢の中で過ごすことでスタッフの目が行き届きにくい点はデメリットといえるかもしれません。
このようにユニット型か従来型かによって、メリット・デメリットが変わってきますので、まずは何を第一優先にするかを考えて選んでみるのが良いでしょう。
本人に合っているか
一番大切なのは、入所する本人に合った施設であるかどうかです。
レクリエーションや生活リハビリ、施設内のルール等は各施設によって若干方針が異なります。
雰囲気を事前に知りたい場合には、施設のホームページやブログ、SNSなどで日常の様子をチェックしてみると良いかもしれません。
本人が望むような雰囲気に合った施設が理想的といえるでしょう。
まとめ

記事内でもお伝えしましたが特別養護老人ホームは、3種類ありますが現状一番多いのが広域型特別養護老人ホームになります。
特別養護老人ホームの中でも、施設によって雰囲気や方針は違ってきますので、入所前にさまざまなことを確認して高齢者本人に合った施設選びをしていきましょう。
また、特別養護老人ホームは人気が高いため、入居待ちになることも多いです。
施設にまだ入れない、またはまだまだ在宅で介護を続けたいという場合、大切にしたいのが高齢者の身体機能の維持です。
介護者の負担軽減にも繋がる高齢者の身体機能維持ですが、転倒事故による機能低下を防ぐなら屋内環境にも配慮が必要です。特に床材は転倒事故において重要な要素の1つです。
歩いているときには硬く、転んだときには柔らかく吸収してくれる「ころやわ」なら、歩きやすい床で転倒予防になるのはもちろんのこと、万が一転倒してしまったときにも柔らかく衝撃を吸収してくれるため、骨折などを防いでくれます。
高齢の方の生活力を維持するためにも、安全性高いマットレスを積極的に導入し、介護の負担軽減を図っていきましょう。