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「介護報酬改正により今後どう介護施設を運営していくべきなのか悩んでいる」という方もいるのではないでしょうか。
令和6年度介護報酬改定のポイントや介護事業所が今後取るべき対応をわかりやすく解説したWEBセミナーを開催しました。
その具体的な内容を、今回は紹介していきたいと思います。
令和6年度介護報酬改定に関して

※ウェビナー実施時期は令和6年2月6日になりますので、改定内容発表前のものになります。
令和6年度の介護報酬改定について、大きく変更になった点は以下になります。
全サービス共通減算の対象
・業務継続計画(BCP)未実施の場合
・高齢者虐待防止のための研修・会議等が未実施の場合
・身体拘束廃止のための適性対応未実施の場合(施設系・居宅系は除く)
そして、各サービス種別における主な改定事項は次のとおりです。
介護老人福祉施設
【主な改定事項】
- ・利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置の義務付け
- ・興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携
- ・口腔衛生管理の強化
- ・外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いの見直し
- ・給付調整のわかりやすい周知
- ・協力医療機関との連携体制の構築
- ・リハビリテーション・個別機能訓練・口腔管理・栄養管理に係る一体的計画書の見直し
- ・ユニットケア施設管理者研修の努力義務化
- ・施設内療養を行う高齢者施設等への対応
- ・基準費用額(居宅費)の見直し
- ・ユニット間の勤務体制に係る取扱いの明確化
- ・小規模介護老人福祉施設の配置基準の見直し
- ・透析が必要な人に対する送迎の評価
- ・高齢者施設等における感染症対策力の向上
- ・平時からの認知症行動・心理症状の予防、早期対応の推進
- ・介護ロボット・ICT等のテクノロジーの活用促進
- ・退所者の栄養管理に関する情報連携の促進
- ・再入所時栄養連携加算の対象の見直し
- ・配置医師緊急時対応加算の見直し
- ・リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組の推進
- ・自立支援促進加算の見直し
- ・アウトカム評価の充実のためのADL維持等加算の見直し
- ・アウトカム評価の充実のための排泄支援加算の見直し
- ・アウトカム評価の充実のための褥瘡マネジメント等の見直し
介護老人保健施設
【主な改定事項】
- ・多床室の室料負担
- ・利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置の義務付け
- ・新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携
- ・特定疾患施設療養費の見直し
- ・リハビリテーション・個別機能訓練・口腔管理・栄養管理に係る一体的計画書の見直し
- ・在宅復帰・在宅療養支援機能の促進
- ・ユニット間の勤務体制に係る取扱いの明確化
- ・老健施設等で見守り機器等を導入した場合の夜間人員配置基準の緩和
- ・自立支援促進加算の見直し
- ・アウトカム評価の充実のための排泄支援加算の見直し
- ・アウトカム評価の充実のための褥瘡マネジメント等の見直し
- ・入院時等の医療機関への情報提供
- ・医療機関からの患者受入れの促進
- ・ターミナルケア加算の見直し
- ・認知症短期集中リハビリテーション実施加算の見直し
- ・短期集中リハビリテーション実施加算の見直し
特定施設入居者生活や介護医療院については、上記サービス種別の要件とほぼ変わりがないです。
上記のサービス種別と異なる主な要件は、次のとおりです。
- ・特定施設入居者生活:生産性向上に先進的に取り組む特定施設に係る人員配置基準の特例的な柔軟化
- ・介護医療院:看取り加算の充実
出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
今回の改定により、介護業界全体の改定率は+1.59%となっています。
従事者・施設責任者が取るべき対応とは?

令和6年度介護報酬改定を受け、今後どのような対応を取っていけばよいのでしょうか。
ここからは、福祉・医療従事者や責任者が取るべき対応について解説していきます。
加算取得よりも大切にすべきこと
加算取得よりも大切なのは、利益に着目することです。
利益とは、みなさんもご承知のとおり、「収入ー支出=利益」になります。
しかし、収入となるサービス単価は固定であり、「値決め」という経営戦略手法に制限があるため思うように上がらないのが現状です。
また、支出に関しても人件費は下げにくく、支出の削減が難しい傾向にあります。
今こそマネジメントの正念場
上記の介護業界の課題を踏まえ、利益率を上げるために、今こそマネジメントが大切になるのではないでしょうか。
収入をあげる、または支出を減らすために着目したい点は次のとおりです。
収入増のために
- ・入居率ではなく稼働率の改善
- ・入院を減らすケアの実施
- ・保険外サービスの模索
支出減のために
- ・職率の改善
- ・生産性の向上
収入をあげるためには、稼働率を改善したり、入院による空ベッドを減らしたりすることが大切です。
入院を防ぐために、転倒による骨折を減らすということに着目したいところです。また、支出を減らしていくことも利益をあげるためには、当然重要になります。
離職率を減らしたり、介護ケアの生産性をあげたりすることがカギとなるでしょう。
求められる制度改正対応とは?
令和6年度介護報酬改定の内容のなかには、求められる介護事業所の在り方が隠れていると思います。
加算を取ることのみに着目するのではなく、「なんのために改正内容に含まれたのか」を深く考えていくことが大切です。
ここからは、今後求められる介護事業所としての在り方について解説していきます。
社会インフラとしての使命を果たす
介護事業所における事業継続計画(BCP)とは、言い換えれば社会のインフラでもあります。
今回の改正内容は、見方をかえれば「その使命を果たすべきですよ」と私達に教えてくれているのかもしれません。
安全や成果を意識して、サービスに求められている・期待されている役割を果たしていきましょう。安全を維持するためには、日常的リスクマネジメントが大切となります。
また、成果を出すためには個別やチームでの目標設定をしてそれを評価していく必要があります。そして、介護施設の存在感を示すために、認知症対応や看取りケアも大切にしていきたいところです。
それに加え医療度の高い利用者様を受け入れることも求められています。
医療機関と繋がって利用者を支える
改正内容から、医療機関と繋がって情報提供をするということも求められていることがわかります。
安全な日常生活を提供するのはもちろんのこと、医療機関とコミュニケーションをとりながらより利用者様の健康や安全を守っていくことが大切です。
必要な情報を提供するためには、利用者様のことをどれだけ理解しているかも大切になってきますので、日常生活上の様子や健康状態はよく観察しておくようにしましょう。
日常生活の情報を始め、口腔や摂食、栄養や薬剤など、各種機関と連携しながら、よりケアの質を高めていきたいところです。
規制緩和を活かして生産性をあげる
今回の改正内容は、規制緩和に関する項目もいくつかあります。
人の制限の緩和で問われるのは、管理者のマネジメント能力になります。日常的に直接管理できない職員等を、うまくマネジメントしていくことが大切です。
ICTの導入に関する改正は、生産性をあげるためのものになります。義務付けられた委員会のなかで、ケアの生産性についての議論ができると理想的です。少ない人数で介護ケアをすることだけが、生産性の向上ではないはずです。
各事業所で生産性向上のためにできることを、積極的に議論していきましょう。
まとめ

令和6年度介護報酬改定の内容について、加算や義務のみに着目するのではなく、改定の意味を理解していくことで、より質の高い介護サービスの提供につながります。
改定の内容から求められる介護サービス像を理解し、それに合わせた対応をしていきたいところです。また、事業所の収入を増やし利益率をあげるためには、骨折入院となる原因も取り除いていきたいところです。
しかし、転倒事故を0にするのは現状難しいでしょう。
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骨折入院を防ぎたいと思っている方は、ぜひ導入を検討してみてください。
なお、株式会社Magic Shieldsでは、今後もさまざまなウェビナーを開催していきます。
今回のウェビナーついて、もっと詳しく知りたい方はぜひアーカイブ動画をご覧ください。