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【ウェビナーまとめ記事】医療安全のためのノンテクニカルスキル -導入編-《Column vol.66》

【ウェビナーまとめ記事】医療安全のためのノンテクニカルスキル -導入編-《Column vol.66》

医療現場で「組織で問題解決する力を身につけたい」と悩まれている方もいるのではないでしょうか。

今回は、ノンテクニカルスキル教育を通じて医療機関の問題解決と組織変革をサポートしているトップランナーである佐藤和弘氏のウェビナー『医療安全のためのノンテクニカルスキル -導入編-』をわかりやすく解説させていただきます。

前回の基本編の続きの内容となっていますので、基本編の記事と合わせてご覧ください。

組織変革と共通言語

前回の基本編を元に、組織変革が大切な理由を簡単に振り返ります。
具体的に知りたい方は、ぜひ基本編もご確認ください。

スキルを身に着けるための考え方

まず、知識を覚えることとスキルを身に着けることは、イコールではありません。スキルとして身につけるためには、現場での反復練習が大切です。

学んだことをスキルにするためには、現場に帰ったあとに実践しましょう。また、組織を変革させるためには共通言語をつくっていくことが大切です。

個々のスキルアップも大切ですが、医療現場で重要となるのが組織単位でのスキルアップです。

個人学習には限界がありますので、個人が習得した学習は組織のスキルにつながるような取り組みを意識していきましょう。

また、組織変革をするためには、組織の共通言語をつくっていきたいところです。

問題解決の六大大陸を考えることが大切な理由

問題解決の六大大陸とは、組織単位で問題解決をするときに大切になる解決までの6つのループです。

多職種連携を行う場合、見ている景色が違い、個々の考え方にギャップがうまれがちです。そのギャップに対し、すり合わせをしていくためにも、共通言語が重要になります。

医療現場の共通言語や問題解決の六大大陸について、詳しくは基本編をご覧ください。

問題解決の六大大陸を元に話し合い、また共通言語を使っていくことで職種による考え方の違いを埋めることができます。

また、組織のみんなが同じ方向を向くためにも有効です。

組織で身に着けるスキルは優先順位をつけて限定しよう

組織単位でスキルを身に着ける場合、その対象を絞ると効果的です。なぜなら、組織単位でスキルをつける場合、反復練習が大切だからです。

反復練習の実践を現実的に考えたとき、対象が複数あると全てが中途半端になり実践しきれなくなる可能性があります。

対象を絞っておくことで、より質の高いスキルアップにつながるでしょう。

また、対象を決める際には、優先順位を意識することがおすすめです。

身に着けたいスキルについては、以下を意識して優先順位を決めると良いでしょう。

  • ・不変的である
  • ・汎用的である
  • ・根本的である

上記を踏まえ、現場で応用できるようなスキルを組織で身に着けることが理想的です。

組織変革と空気のマネジメント

組織変革を起こすためには、組織の空気をいかにマネジメントできるかがカギとなります。
ここからは、組織変革を起こすための空気のマネジメントについて解説していきます。

組織の2:6:2の法則を用いて空気をマネジメントする

組織の空気について考えたとき、2:6:2の法則を羅針盤として持っておくことが大切です。
具体的に、組織の2:6:2とは次のとおりです。

  • ・推進派:2割 賛成する人
  • ・抵抗派:2割 反対する人
  • ・慎重派:6割 どちらともつかず周りの様子をみている人

みなさんは、組織を変えようと思ったときに推進派が10割にならないといけないと思いがちではないでしょうか。

しかし、現実にはさまざまな考えの人がいて抵抗派の人もいます。

上記のように羅針盤として持っておくことで、抵抗派の人がいてもギャップを感じず「こんなものか」と現状を受け入れられるはずです。

また、ネガティブな空気に変えていくために大切なことは、「人は本来弱い生き物である」という前提を理解しておくことです。

推進派の人達は、弱い生き物であるのにも関わらず勇気を持ってあなたに賛同してくれているかもしれません。

一方で、抵抗派は弱い生き物だからこそ現状を変えたくないと意固地になっている可能性があります。

小さな成功を積み重ねてラーメン屋の行列をつくろう

組織の空気をポジティブに変えていこうと考えたとき、ラーメン屋の行列を想像してみるとわかりやすいかもしれません。ラーメン屋に行列ができていると、それまで関心がなくても気になって行列に並んでみたくなるものだと思います。

このようにラーメン屋の行列をつくっていけるかが変革のカギとなります。

また、推進派を行列の先頭にするとポジティブな空気になりますし、反対に反対科派を先頭にするとネガティブな空気になるでしょう。

推進派を行列の先頭にするためには、実践したことの小さな成功を組織に共有していくことが大切です。

そうすることにより、少しずつ組織全体にポジティブな空気が生まれます。

しかし、小さな成功は、「成功した事実」だけを指したものではありません。結果的には失敗であっても、事実にポジティブに意味づけすることでそれは小さな成功となるのです。

例えば、目標に対して理想の結果がでなかったとしても、実践したことで「〇〇に気づけた」などです。

こういったポジティブな意味づけを現場で量産していくことで、推進派によるラーメン屋の行列がポジティブな印象を与え、慎重派の人が行列に並ぶ可能性があります。

ただし、組織変革は即効性のあるものではないため、変革にかかる期間を10年単位で考えておくと気持ちが楽になるでしょう。

ノンテクニカルスキルを組織に導入するための仕組みづくりのポイント

ここからはノンテクニカルスキルを組織にうまく導入するためのポイントを解説していきます。

日常生活に組み込ませよう

個人の行動よりも組織全体の活動を軸に考えていくことが大切です。

なぜなら、個別に行動を変えようと促しても、結局は組織の雰囲気が変わらなければ変革をうむのは難しいからです。

現場で導入するポイントは、日常業務のなかに組み込むということです。日常業務のなかに組み込むことで、馴染ませて浸透化させやすいからです。

例えば、インシデントレポートなど書類のフォーマットに問題解決の六大大陸の項目を組み込んでおくと、記載の際にノンテクニカルスキルの考え方が定着しやすいでしょう。

日常業務のなかにいかに自然に組み込めるかが大きなポイントとなります。

現場に活きるスキルをつけるために

また、研修内容が現場の実態とかけ離れすぎているとスキルにつながりにくいでしょう。研修の現場化・現場の研修化をすることで臨場感がでて、学びを吸収しやすくなります。現場で起こっていることを題材にしたような研修内容を選んでいくのがおすすめです。

計画→実行→振り返り→教訓の繰り返しがスキルを身に着けるための理想的なループです。

生成AIがノンテクニカルスキルを発揮できる時代が来た

生成AIと今後共存していくために、上手に活用していきたいところです。

生成AIの活用方法として、正しい答えを導き出すのではなく、考えるための選択肢を増やすことに目的をシフトしていくとよいでしょう。

それにより、あるべき姿や対策などに対しての選択肢を増やすことができます。また、どのような答えが生成されるかはプロンプト次第です。

人間がAIに送る問いの質によって、生成される答えの質は変わってきます。また、人間側から生成AIに結果をフィードバックしていくことも大切です。

生成AIの活用も今後具体的に現場で考えていきましょう。

まとめ

医療現場で組織変革を起こすことは簡単ではありません。
しかし、組織単位でスキルを上げていくためには、組織への働きかけが重要になります。

ノンテクニカルスキルや共通言語を使って、組織をポジティブな空気へと誘導していきましょう。今回のウェビナーついて、もっと詳しく知りたい方はぜひアーカイブ動画をご覧ください。

この記事を監修しました

中村 亜美

中村 亜美 / 介護福祉士・フリーライター

専門学校の卒業と同時に介護福祉士を取得し、そこから計12年程、特別養護老人ホームで介護スタッフとして勤務。現在は、フリーライターとして、在宅介護者や介護スタッフ、事業者向けのコラムなどを執筆している。(株)Magic Shieldsのコラムでは、介護施設内の課題解決などに着目し、経験を踏まえながらわかりやすい記事の作成を目指している。

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