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【ウェビナーまとめ記事】理学療法士監修!社交ダンスを用いた安全なレクリエーションによる生きがい支援《Column vol.71》

【ウェビナーまとめ記事】理学療法士監修!社交ダンスを用いた安全なレクリエーションによる生きがい支援《Column vol.71》

「レクリエーションによる事故が心配」「ご利用者様のADL向上、生きがいを支援したい」と悩む介護職員、または管理者の方は多いと思います。

株式会社Magic Shieldsでは、さまざまな効果が期待できるレクリエーション「カレンダンス」についてのWEBセミナーを開催いたしました。

今回は、高齢者施設での社交ダンスボランティアを数多く経験されている社交ダンスインストラクター杉山 透様、杉山 雅子様をお招きし、

高齢者でも安全に楽しめるレクリエーションについてお話しいただきましたので、記事にまとめて紹介していきます。

レクリエーションの本来の目的とは?

そもそも、レクリエーションの本来の目的は、どのようなものでしょうか。

さまざまな要素を含むレクリエーションは、ご利用者様のQOLの向上につながります。

  • ・社会的交流の促進
  • ・精神的充足
  • ・心身のリフレッシュ
  • ・認知機能活性化
  • ・生きがい創出
  • ・身体機能維持・向上

レクリエーションは単に楽しむだけでなく、ご利用者様の体と心の健康を支え、生きがいを創出する大切な活動です。

よりよいレクリエーションの提供により、ご利用者様や職員の満足度向上や事故の減少など、施設価値の向上に寄与することができます。

多くのメリットがあるレクリエーションですが、実際はさまざまな原因により、現場で思うように力を入れることができないのが現状です。

今回はそんなレクリエーションのあり方を見直すとともに、課題解決について考えていくなかで、より好影響を与えるとされている「ダンス」について詳しく解説していきます。

ダンスの効果

ダンスの効果については、世界的にさまざまな研究発表がされています。

なかでも代表的な効果は、次の3つです。

  • ・認知機能の向上を寄与する
  • ・身体機能、精神・心理面の両方を改善する
  • ・さまざまな身体機能の向上に影響

ダンスは、高齢者の全般的な認知機能と実行機能を向上させます。

また、コミュニティダンスによって、身体的能力、疲労、QOL、うつ病が改善されるといわれています。

その他、筋力の増加や柔軟性の改善、バランス機能の改善や心肺機能の向上など、さまざまな効果が期待できるでしょう。

ダンスのように、音楽に合わせて体を動かすことがリハビリにもつながります。

社交ダンスの効果

なかでも、高齢者の転倒リスクを効果的に低減できるといわれているダンスは、次の3つです。

  • ・創作ダンス
  • ・フォークダンス
  • ・社交ダンス

上記3つのうちで、今回着目したいのが社交ダンスです。

社交ダンスは、さまざまな効果が期待できるダンスといわれています。

10週間の社交ダンスプログラムにより、心理的な気分が改善したという研究結果の報告もあります。

心理的な部分にアプローチできる社交ダンスは、生きがい創出にもつながるでしょう。

その他、高齢者の社交ダンストレーニングは、ウォーキングトレーニングよりも身体機能を向上させるといった報告も。

社交ダンスというとハードルが高いと思われがちですが、今回は杉山先生に高齢者でもできる社交ダンスについてお話しをしていただきます。

介護現場のレクリエーションの現状

現場スタッフ100人にアンケートを取った結果、「レクリエーションの準備は大変である。または大変そうである」と答えたのは、92%でした。

また、レクリエーションの準備で大変な理由についての回答は、次のとおりです。

大変な理由割合
アイディアを考える37.9%
準備する時間22.4%
人手不足17.3%
準備する労力15.4%
予算不足7%

次にレクリエーションの準備で何が一番大変であったかの詳細を質問したところ、次のような回答があがりました。

  • ・同じようなレクリエーションになってしまい、新しいことを考えるのが大変
  • ・危険性がなく、マンネリ化しないようなバランスのとれたレクリエーションが難しい
  • ・人数や認知レベルにあった企画を考えるのが大変
  • ・勤務時間内に準備する時間が確保できないため、持ち帰り仕事やサービス残業になる

一方で、レクリエーションに対して、次のような前向きな意見も多数ありました。

  • 「レクリエーションの時間と食事の時間は、ご利用者様とのコミュニケーションがとれる大切な時間である」

しかし、人手不足などが原因で満足に時間を費やせない現状により、職員の方がレクリエーションに対しての葛藤を抱えてらっしゃることもわかりました。

そんななかで、レクリエーションが外注できたらよいと思うと答えた人は、54%でした。

理由は以下のとおりです。

・プロの方が盛り上げてくれそうだから

・外注できるとその時間に他の業務ができるから

・実際に体験してみたら、施設内では提供しきれない価値が外部レクリエーションにあるから

上記のアンケートを踏まえ、介護現場が抱えるレクリエーションの課題をまとめました。

それが次の4つになります。

  • ・マンネリ化:安全性があり、全員が楽しめるレクのバリエーションを増やしたい
  • ・トレーニング効果のあるレクが思いつかない:体も心もトレーニングできるようなレクのバリエーションが少ない
  • ・現場スタッフの労働負担:普段の業務が忙しく準備が間に合わない
  • ・安全性と運動性の両立:リスクばかりが気になり、座位中心の運動性が低いレクになってしまう

上記、4つの課題解決につながるレクリエーションプログラムが「カレンダンス」になります。

新しいレクリエーション「カレンダンス」について、次の章で詳しく解説していきます。

カレンダンスとは

カレンダンスとは、男女2人が支え合う「社交ダンス」のテクニックをもとに、要介護度に関わらず、全てのご利用者様が楽しめるように設計した新しいレクリエーションです。

社交ダンスには、リードしていくリーダーと支えるフォローの二つの役割があり、リーダーについては、安全でわかりやすく動きを伝えることが大切といわれています。

そういった、社交ダンスのテクニックに基づいて、高齢者でも楽しめるダンスになります。

カレンダンスのコンセプトは次のとおりです。

  • ・相手を気遣い支えてケア(Care)
  • ・一緒に楽しく踊る(Dance)

ご利用者様をうまく支えながら、一緒に楽しめるダンスとなっています。

カレンダンス3つのメリット

カレンダンスは、高齢者施設のご利用者様・スタッフ様向けに社交ダンスの技術を応用して開発した介護向けレクリエーションです。

競技用のダンスとは違い誰でも簡単に楽しむことができます。

特に大きなメリットは、次の3つです。

1.マンネリの解消

カレンダンスは介護度に関わらず楽しんでもらえるように、座位・立位・寝たきり・車椅子でも、レクリエーションの内容を工夫できるのが特徴です。

以下、さまざまな楽しみ方があります。

  • ・ダンスを見る
  • ・音楽を聴く
  • ・振り付けを覚える
  • ・振り付けえ踊る
  • ・パートナーに触れる

カレンダンスは、人と触れ合うダンスであるため、そこから発生するコミュニケーションを楽しむこともできます。

振り付けもさまざまな種類のものがあるため、マンネリせずいつまでも新鮮な気持ちで取り組めるのがメリットです。

2.トレーニングの効果

カレンダンスは、社交ダンスのトレーニング効果も期待できます。

進行報告や体の向き、重心の移動サポート・足を運ぶタイミングを伝えることで言葉を使わなくても相手の意思や動きを読み取り、それに応えることが自然と頭や体のトレーニングになります。

また、体や脳、心理面への影響を以下にまとめました。

身体的効果

歩くことやスイングする動き、姿勢を意識するのがカレンダンスです。

その動きにより、体感のトレーニング歩行訓練、介護予防にもつながります。

脳への効果

音楽を聴く・振付を覚える、振り付けや音楽が変化することで、脳へのトレーニング変化への適用力が上がります。

特に聴覚への刺激は、認知症への効果が期待できます。

心理的効果

ペアになって人と触れ合い相手を意識することで、ご利用者様同士やスタッフのコミュニケーションアップにつながり、孤立感の軽減につながります。

オキシトシンも増加し、幸福感を持ちながら気持ちも安定します。

楽しみながら、全身のトレーニングから脳のトレーニングまで自然と行うことができます。

また、カレンダンスは、職員が介助しながらの歩行訓練にもつながります。

社交ダンスのテクニックを活かし、安全に歩行を助けることができるからです。

カレンダンスから安全な歩行介助につなげるステップは、次の3つです。

ホールド(転倒予防)

記事中でもご説明したとおり、カレンダンスは支え合うものです。

ダンス中は、相手(ご利用者様)を支えます。

また、お互いに負担のない体制で支え、転倒を防止します。

リズム(重心移動)

次に、リズム(重心移動)です。

重心移動を助けることで足踏みのリズムを促し、楽に歩行をできるように助けます。

バランスを移動させながら、スムーズに歩行できるようにしていきます。

ターン(方向転換)

方向転換することで、目的地に進めるようにします。

姿勢を支えながら、体の向きを変えることで進行方向をサポートすることができます。

安全な歩行介助の仕方

カレンダンス中に安全に歩行介助をするためには、支える側のスタッフがバランスをとりながら歩くことが大切です。

手を持って引っ張って進むと倒れ込んでしまうので注意が必要です。

また、補助する人が自分のバランスを安定させながら肘を支え進むことが大切です。

足を移動するときが一番不安定になるため、気を付けましょう。

3.現場スタッフの労働負担を軽減

カレンダンスのメリット3つめは、現場スタッフの労働を軽減できることです。

レクリエーションを代行することで、現場スタッフの業務はレクリエーションをご利用者様と一緒に楽しんでもらうことができます。

事前準備などの労働負担を軽減することで、離職率の低下や他法人とのサービス差別化にもつながります。

また、社交ダンスに馴染があるご利用者様は意外と多いものです。

ご利用者様の楽しみにつながり、満足度の向上を図ることもできますので、スタッフのモチベーション向上を図ることもできます。

カレンダンスについて

カレンダンスの安全性やレクリエーション代行について、さらに詳しく知りたい方のために、以下でまとめましたので、紹介していきます。

カレンダンスの安全性

カレンダンスは、安全性にも配慮しているレクリエーションです。

社交ダンスの専門インストラクターがサポートすることで、適切な指導が行え、安全性を確保しています。

また、手を組んで踊ることで、歩行や重心移動をサポートするため、転倒による怪我を予防することができます。

レクリエーション代行サービス

カレンダンスは、社交ダンスのテクニックをもとに、設計されたダンスです。

レクリエーション代行として、依頼することもできます。

安全で全員が楽しめるレクリエーションであり、準備の必要がなく、ご利用者様の満足度アップを図ることができるサービスです。

レクリエーションの流れ

レクリエーションの流れは、次のとおりです。

  1. 体操
  2. カレンダンスの振り付けを覚える
  3. 音楽に合わせて踊る
  4. デモストレーションを観る

カレンダンスの基本ステップは、縦・横・斜めの方向に足踏みをするだけなので、座位のままでも参加できます。

まとめ

レクリエーション代行によるカレンダンスは、介護業界のレクリエーションに対する課題を解決してくれるきっかけとなりそうです。

サービスについてさらに詳しく知りたい方は、アーカイブ動画をご覧ください。

心身によい影響を与え、ご利用者様の満足度向上やスタッフのやりがいにつながりそうなレクリエーション代行を、ぜひ介護現場でも、取り入れてみましょう!

この記事を監修しました

中村 亜美

中村 亜美 / 介護福祉士・フリーライター

専門学校の卒業と同時に介護福祉士を取得し、そこから計12年程、特別養護老人ホームで介護スタッフとして勤務。現在は、フリーライターとして、在宅介護者や介護スタッフ、事業者向けのコラムなどを執筆している。(株)Magic Shieldsのコラムでは、介護施設内の課題解決などに着目し、経験を踏まえながらわかりやすい記事の作成を目指している。

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