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《Column vol.10》骨卒中って何?

《Column vol.10》骨卒中って何?

骨卒中という言葉を聞いたことはありますか?

1)骨卒中とは?

骨卒中という言葉を聞いたことはありますか?脳卒中は聞いたことがあると思いますが、骨卒中は馴染みがないかもしれません。

若い人の骨折と違い、高齢者の骨折は脳卒中と同じように、その後の人生を大きく変えてしまいます。

高齢者(特に女性)は若い人に比べ、骨がもろくなっていることと、転びやすくなってしまっていることで、交通事故運動中の事故ではなく、日常生活の中で転んでしまっただけで骨折をしてしまうことがあります。そのようなことから近年では馴染みのある脳卒中と同じように骨卒中という言葉が使われるようになってきています。

そもそも卒中という言葉を辞書で調べてみると、突然に急激な症状を発作的におこす場合を一般に卒中といい、脳の出血、血栓などの循環障害によって、突然に意識障害や運動麻痺(まひ)をおこす脳卒中がその代表である。(コトバンク)と記載がある。転倒による骨折も突然に起こることであり、骨卒中という言葉も脳卒中と同様に今後は浸透してくるかもしれません。

2)高齢者に多い骨折

転倒によって起きる高齢者の骨折には起きやすい部位が4つあります。①脊椎(背骨)②上腕骨(腕の付け根)③橈骨(手首)④大腿骨(脚の付け根)の4つです。

この中で最も注意しなければいけないのが、④大腿骨(脚の付け根)です。

その他3つの骨折も大変ですが、骨折が治れば骨折前の生活に戻れることが多いです。しかし、大腿骨(脚の付け根)の骨折は骨折前と同じ生活を送れるように回復することが少なく、杖や歩行器なしで歩けていた人は杖や歩行器が必要になり、杖や歩行器を使って歩いていた人は車椅子になり、車椅子で生活していた人は寝たきりになってしまうことも少なくありません。

骨折後1年以内に亡くなってしまう人が約20%も及ぶという報告もあります。そんな大腿骨(脚の付け根)の骨折はどうやって防ぐとよいのでしょうか。

3)骨折ドミノ

大腿骨(脚の付け根)の骨折を防ぐにはリスクをいち早く察知し、未然に対策をすることです。脳卒中であれば、血圧や動脈硬化、コレステロール値などの検査を行って脳卒中にならないように予防します。

大腿骨(脚の付け根)の骨折予防を考える上で大事なことの1つは骨密度の検査です。これは別の記事で改めて紹介させていただきます。

もっと簡単に大腿骨(脚の付け根)の骨折リスクを確認するためには他の3部位の骨折の経験があるかどうかです。手首の骨折があればない場合と比べて3倍、腕の付け根の骨折がある場合は6倍、腿骨(脚の付け根)の骨折を起こしやすいというデータがあります。ですから、40-60代の比較的若い時期にこのような骨折をしている場合には70代以降に腿骨(脚の付け根)の骨折を起こしやすいことになります。

今、この記事を読んでいる方の中にも該当する方がいるのでないでしょうか?

4)転倒と住環境

そんな高齢者の転倒事故ですが、意外にも屋内で起きていることが多いです。東京消防庁の転倒事故の救急搬送データによると56%が住宅等居住場所となっており、さらにその中で最も多いのが、居室・寝室となっています。転倒事故を予防するためには、自宅の住環境の整備が重要となります。転倒予防学会は転倒しないための住環境の整備として『ぬかづけ』のキーワードを推奨しています。

・ぬ:濡れている所は滑りやすいので、気をつけよう

・か:階段、段差があるところは転びやすいので、気をつけよう

・づけ:片づけていない部屋はつまずきやすいので、気をつけよう

以上の3点をまずは気をつけることが転倒予防の住環境整備の第一歩となります。具体的な対策は次回以降のコラムで紹介していく予定です。

5)転んでも怪我をしないためには

『ぬかづけ』のキーワードは“転ばないため”に気をつけることでしたが、転倒予防の考え方はそれだけではありません。もし転んでしまったとしても“怪我を最小限にする”ということも合わせ考える必要があります。冒頭で骨卒中という言葉を紹介しましたが、骨粗しょう症の治療をして骨を丈夫に保ち、転んだとしても骨折してしまう確率を減らすことは必須の対策となります。

骨粗しょう症治療だけでなく、身につける物や住環境でも転倒時の衝撃を吸収して怪我を防ぐことが可能です。少しイメージがつきにくいかもしれませんので、わかりやすい例を紹介します。

バイクや自転車に乗るときのヘルメットです。自宅内でヘルメットは少し大袈裟かと思いますが、転倒しやすい疾患や頭部を保護の必要性が高い疾患の方は屋内の転倒対策として保護帽があります。また、股関節の骨折を予防するためのヒッププロテクター(緩衝材のつきの下着やズボン)も非常に有効です。

保護帽やヒッププロテクターは身につけるタイプのものでしたが、屋内環境の整備としては、ベッドサイドに置く衝撃吸収マットやテーブルなどの家具を角に被せる保護材、床材を衝撃吸収性の高いものにする、などの対策があります。

この記事を監修しました

杉浦 太紀

杉浦 太紀 / 取締役・理学療法士・転倒予防指導士・福祉住環境コーディネーター2級

2010年から刈谷豊田総合病院で10年間勤務し、急性期から慢性期まで幅広い分野のリハビリテーションを経験。 2016年よりグロービス経営大学院に通学し、知り合った仲間とともに、株式会社Magic Shieldsを共同創業。

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